としひろ会は長唄三味線奏者杵屋勝七郎が代表を務め長唄の魅力を広めることを目的に1978年結成。勝七郎は15歳で三代目市川猿之助公演で初舞台、同年杵屋寿浩の名前を許される。2010年二代目杵屋勝七郎を襲名。歌舞伎を含む公演に年間百以上出演する他、作曲、講演、後進の指導育成にあたる。一般財団法人杵勝会理事。としひろ会は過去30回以上の主催公演を開催し、全国に指導の場を設け約40名のプロを輩出している。
響の宴
「黒塚」は歌舞伎でも演じられる演目で安達ケ原の鬼女岩手の物語であるが、歌舞伎では岩手がどうして鬼女となったのかという物語の前段は演じられていない。今回この作品では初めての演出としてその前段を噺家の桂米團治氏が語りとして口演し長唄を聴くだけでなく観客の物語への没入と理解を促すという趣向を凝らした内容となった。演奏は杵屋勝七郎、人間国宝杵屋東成をはじめとした長唄の第一線で活躍する面々によるものである。