1968年北国の夏の海辺に、突然出現した正体不明の女、煙に巻かれてしまう保養所の医師。二人が相手のことが気になりだして言葉を交わすようになったのは、しばらくたった音楽会の帰り道のことだった。二人は若くない。それが惹かれあった。普通の幸せをあまり貰っていなかった二人。ひとりぼっちだった二人。他の何百万人の男と女のように戦争で手ひどい仕打ちを受けた二人の慎ましいお話。そして、二人が別れる時がおとずれ、