天保五年正月、亀戸天神近くの薬種商「むさし屋」の寮の火事で一家三人が亡くなった。遺体は損傷がはげしく男女の区別さえつかなかった。その後しばらくして、椿の花びらが現場に残される連続殺人が起こる。踏躇う様子もなく平簪で突かれ、死に至らしめられた男たちーーー。いったい、何の目的で?現場で目撃された美しい娘は、何を思っていたのだろうか?
小学校教師である行介は、芸者の世界に耐え兼ね逃げてきた貧しい教え子、きぬ子に同情し結婚する。楽しい結婚生活を送っていたが、柳沼涼太郎という医学生が現れ、置手紙を残し家を出て行ったきぬ子。それが、きぬ子の幸せになるならと思いもした行介であったが…。
