ブルックリンの閑静な住宅街の一画に、アビーとマーサの老姉妹はちょっと頭のおかしな甥のテディと一緒に住んでいる。この老姉妹、町では人の良い慈善家で評判の二人。屋敷の前の「部屋貸します」の貼紙を見て、今日も又、寂しいお年寄りが訪ねてくる。テディの弟で劇評家のモーティマーは、こんな二人のおばあちゃまが大好き。隣に住んでいる牧師の娘エレーンとは恋仲で、近々結婚することになっている。そんな幸せな屋敷にある日
祖国ソビエトに忠誠を誓う女検察官ニノチカは特命をおびて花のパリに乗り込んだ。あでやかなパリの香りに染まりつつあった先乗り三人組もささやかな贅沢は徹底的に糾弾された。彼女の崇高な理想の前には資本主義社会の常識は通用しなかった。勿論、恋や愛などは存在さえしない。とは云え処はパリ、甘い夜霧は、木石の如くき彼女の身体を、やさしく包みはじめていた…パリの街を背景に、貴族出のパリジャンとのラブロマンス。恋の鞘