KIRIN DANCE NETWORK
オーストラリア・アデレード在住のリー・ウォーレン、山口市在住の宇野萬。1996年第一回の日豪ダンスコラボレーションの出会いから10年、共に50代半ばを迎えた日豪のベテラン振付家が奇しくも3年前同時期の病から復活。松尾芭蕉の「奥の細道」を改めて紐解き、「月日の旅、百代の過客」を、両国での滞在制作を経て、ダンス、映像、衣裳、音楽のコラボレーションとして繰り広げる。
満州鉄道を模して本物の線路を枕木・線路石と共に約30m設置し客席として作られた船がエンディングに線路の上を曳航する。公演モチーフは旧日本軍兵士の亡霊の彷徨いから始まり線路を歩く花嫁、インドの瘋癲青年の群舞、その中から現れる金色の仏の踊りなど、それ以前の主要なモチーフであった「ハレとケ」を織り交ぜながら以後の作品に色濃く現れる仏教思想に視線を置いた記念碑的作品
TOKYO DANCE SCENERY
中国北宋時代の廓庵禅師によって、禅修行を牛と牧童の関係で暗喩的に10枚の絵と共に描かれた、十牛図をモチーフに作られた。舞台上には宇野萬によって製作された、蹄の無い4頭の牛がいる。絶望的な闘いの後に得たものは何か?その時初めて彼は絶対無(空)に到達する。禅宗の難テキストに正面から挑んだ名作で国内公演はもとより北中南米大陸、フランスにて大好評を得た。
(フライヤーより)舞踏から出発し優しく過激な新しいDANCEを求めて活動する注目のUNO=MAN。今回の新作ではおとぎの国の裏話とでも呼べそうな不思議なメルヘンを描きます。
青南病院舞踊療法 発表会
青森県八戸市にある精神病院《青南病院》で行われていた舞踊療法の発表会の様子。1980年頃から写真家の羽永光利の紹介で舞踏家の石井満隆が指導していたが、石井が他の病院でも教えるようになると、宇野萬など他の舞踏家も参加するようになった。石井は後に「舞踏療法」とは「人間の本当の姿」、偽りのない姿だと語っている。
反閇とは陰陽道に於いて出行や鎮めの際に行われた呪術である。後に神道や密教、さらには、有職故実の世界などにも流入した。宇野萬はここにヒントを得た。冒頭ではロープで身体を支え反重力のモチーフと思われ、男二人のシーンは口と尻をチューブで繋ぎ循環する管がモチーフ。後半の白い衣装のシーンは塩を撒き祓いのイメージが見られる。前作Hot Keyラストシーンの陰陽舞からさらに陰陽の世界を展開した作品といえる。