今まで何千何万もの仲間たちがこの場所を駆け抜けた風が吹けば砂塵が舞い上がり雨が降れば泥の海になるそんな場所を俺は走る金とか欲望とかそういうことはよくわからない夢とか希望とかそういうこともよくわからないだけどコーナーを曲がって最後の直線湧き上がる大歓声の中をただ真っ直ぐに先頭を走る俺はこの瞬間の為に生まれてきた競走馬なら誰でも必ずそう思う
医学の神アスクレピオスの持つ杖には一匹の蛇が絡みついている。ある日、蛇は主の杖から這い出して薬品調剤を司る天秤にこう言った。「人間の命の限界を超えてみないか」天秤は頷いた。なんと素晴らしい提案だろう。人間の命の限界を超える。蛇も天秤も本気だった。しかし蛇は神ではなかった。彼らはその事に気付かなかった。医学と薬学。命と交差する学問の前で欲と虚栄と自尊に溺れる彼らの姿はまるで人間の様だった。
