「笑い」というものにすべてを賭けた江戸の戯作者たち。書くことに魅せられ、コトバと心中した男たちの数奇な運命を異才・劇団桟敷童子の東憲司が新作書き下ろし。東憲司版『戯作者銘々伝』がここに完成
「氷いちご」にスプーンをさし入れる時の、サクリとした音まで聞こえる。そんな小さな気配を呼び寄せなければこわれてしまうもろい世界、かと思うと、吹雪吹き荒れる満州の荒野、物語を横切る老人乞食の群れ、そして哀しみの地平を埋め尽くす雪子のガラス玉、この作品は存在するものと、しないもの、つまり現実と非現実の融合の物語です。(唐十郎)