鈴木忠志率いる劇団SCOTとインドネシアの俳優による、2021年11月に初演された国際共同制作作品。劇団SCOTは2015年から5年に渡り鈴木忠志演出、日本・インドネシア・中国の俳優による『デュオニュソス』(国際交流基金アジアセンターとの共同企画)を制作。この成果をさらに発展させるべく、インドネシアのプロデューサー、レスツ・クスマニングルムのもと継続的に「スズキ・トレーニング・メソッド」の訓練を行う俳優をオーディション選考。
「世界は病院であり、すべての人間は病人である」という鈴木忠志の発想から、舞台上では、母親とその愛人に父親を殺された娘・エレクトラとその家族、車椅子のコロスたちが激しく動き、看護婦、医者も登場して、憎しみや狂気の連鎖を表現。日本を代表する打楽器演奏者・高田みどりも加わり、狂気に駆り立てられる心情を鮮烈に印象づける。ギリシア悲劇を新しい視点から世界に提示した作品。
鈴木忠志主宰。1966年創立。1976年に東京から富山県利賀村に拠点を移し、合掌造りの民家を改造した劇場「利賀山房」を開場。その後、野外劇場・稽古場・宿舎などを増設。利賀におけるSCOTの活動は世界の注目を集め、利賀村は世界の演劇人に聖地の一つと言われている。1982年から毎夏世界演劇祭を開催。毎年世界の舞台芸術家が利賀に集まり、スズキ・トレーニング・メソッドの訓練や作品づくりを行っている。日本を代表する現代劇団として、これまで34カ国90都市で公演を行なっている。