シェイクスピアの『ヘンリー六世』から、シラーの『オルレアンの乙女』、バーナード・ショー『聖女ジョウン』、そして、ジャン・アヌイの『ひばり』まで、ジャンヌ・ダルクは、処刑される魔女、天使、悲劇のヒロイン、救国のひばり等々として様々に解釈されてきた。SPAC版『ジャンヌ・ダルク』は、アヌイの『ひばり』を原作としながら、チャッキリ節、真室川音頭、三階節、相馬盆唄などお馴染みの日本民謡に数々に乗って、野外劇=スペクタクルとして繰り広げられる。劇団花組芝居とSPACの男優陣の中、紅一点、劇団ク・ナウカの美加理が演じる闘う処女。はたして、ジャンヌ・ダルクとはフランスの建国神話を支える救国の乙女なのか、あるいは放浪の踊る唄姫か。
専用の劇場や稽古場を拠点として、俳優、舞台技術・制作スタッフが活動を行う日本で初めての公立文化事業集団。舞台芸術作品の創造・上演とともに、優れた舞台芸術の紹介や舞台芸術家の育成を目的とする。2007年に宮城聰が2代目芸術総監督に就任以来、より多彩な舞台芸術作品の創造や国際演劇祭の開催とともに、教育機関としての公共劇場のあり方を重視し、中高生鑑賞事業公演や人材育成、アウトリーチ活動などを展開。
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不朽の名作オペラとして知られる『ばらの騎士』。その舞台が華やかな鹿鳴館時代の日本に置き換わり、宮城聰、寺内亜矢子の初共同演出と、古典から現代音楽まで自在に操る根本卓也の音楽で、軽快な演劇作品に生まれ変わる。俳優たちの生演奏にのせ、貴族たちのドタバタラブコメディが初笑いを誘う!
酒の神であるディオニュソスは、その新しい宗教をギリシアの地に広めようとテーバイへやって来る。神と認めない王ベンテウスは、ディオニュソスを捕らえようとするが、逆に殺される。熱狂的な宗教集団の闘争性のために息子殺しの責を負わされた母親の姿を通して、宗教と人間の関係に問題を投げかける。アメリカ人俳優エレン・ローレンが母、アガウエ役で出演する日英二ヵ国語上演。
スパック祝祭音楽劇ノ原点!冒険ハ此レヨリ始マル!スッテン転ンデ マタ起キテ… 愛し愛され旅する世界!世界をめぐるペール・ギュントが、あらゆる欲望を痛快に満たす冒険劇。今からおよそ150年前、劇作家イプセンがノルウェーの民話をもとに書き上げた壮大なドラマを、SPAC宮城聰は俳優の生演奏による躍動感あふれる音楽劇に仕立てた。主人公の歩む物語は、世界へと奔走する当時の〈日本〉と奇しくも重なり…?!宮城×