Marcelo Evelin / Demolition Incorporada

【マルセロ・エヴェリン】
ブラジル、テレジナ生まれ、アムステルダムとテレジナを拠点に活動 振付家・研究者・パフォーマー。1986年にパリに移り住み、マーク・トンプソン、オディール・デュボックらにダンスを師事する。1988年には、ピナ・バウシュが主催するヴッパダール舞踊団に入門する。1989年振付家としての活動を開始し、現在までに30を超える作品を制作。当初から、ダンスだけでなく、フィジカル・シアター、演劇、音楽、映像、サイトスペシフィックな作品をはじめとする、異なる分野のアーティストたちとのコラボレーションを積極的に展開。1995年自らの伝記的な長編ダンス作品『ai, ai, ai』でオランダのシルバー・ダンス・プライズを受賞。1996年には、ダンスカンパニー「デモリション Inc.」をアムステルダムで立ち上げる。1999年以降、アムステルダムにあるパントマイムの学校で教鞭を取るかたわら、数多くのワークショップやレクチャーを通してヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、アジアを含む世界各地の人々を指導してきた。2006年ブラジルに帰国、キュレーターとして現代舞台芸術のインディペンデントな研究開発コレクティブ集団Núcleo do Dirceuを立ち上げ、2013年まで芸術監督を務める。2003年には、ブラジル人作家エウクリデス・ダ・クーニャの小説『Os Sertões』を基に、ブラジル北東の荒廃した奥地で巻き起こる貧困街の戦争の物語を三部構成で作品に落とし込み、世界各地のフェスティバルや劇場で発表する。そのうちの『Matadouro(屠場)』は2011年のKYOTO EXPERIMENTにて上演。近作『どこもかしこも黒山の人だかりとなる』(2012)や『Batucada』(2014)は世界各地のフェスティバルで発表されている。

【Demolition Incorporada】
1995年、ニューヨークにてマルセロ・エヴェリン(振付)、ジョン・マーフィー(芸術監督)、アナット・ゲイガー(ダンサー)、ヤープ・リンディヤー(音響)により、ダンス作品を創作する場として立ち上げられた。取り壊しを意味する「demolition」は、建物の取り壊し作業がダンス的であることから付けられたが、ネガティブな意味合いではなく、一つの塊を取り除くことが、別の文脈に新たな意味を与えることになるという意味である。固定のカンパニーメンバーによる従来的な作品制作ではなく、毎回異なる参加アーティストやコラボレーターが、みな平等な立場で創作活動をする。また、世界中をフィールドに、企業・学校・地域の芸術センター・現代芸術の団体とのパートナーシップを模索する。当初、デモリション Inc.のInc.は、英語で「組織」を意味するincorporatedの略語だったが、現在では、ポルトガル語で「身体」や「身体化」を意味し、アフリカ系ブラジル人の伝統儀式にも通底するincorporada の略として用いている。2006年、活動拠点をブラジル・テレジナへ移し、スラム化していた地域で芸術性の高い作品公演やワークショップなどを繰り広げる。その20年に渡る活動を通じて、今やテレジナは現代芸術の主要な都市として国際的にも認知されるようになっている。

※以上、2017年時点の情報

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