日本の前衛演劇の旗手として世界的な評価を博した演劇実験室◉天井棧敷は、主宰者寺山修司の逝去に伴い1983年7月31日に解散。演劇実験室◉万有引力は、その活動を引継ぎ、翌8月1日に天井棧敷で共同演出及び音楽を担ったJ・A・シーザーを中心に旗揚げされる。
万有引力の演劇は、基本的には寺山修司が長く天井棧敷で培ってきた演劇論に基く様式を継承し、オリジナル作品及び天井棧敷作品の再演で、劇場は素より様々な会場で鍛錬された俳優陣の肉体による多様な演劇実験を行ってきた。その後はオリジナル作品や文学作品の舞台化、シェイクスピア等の戯曲も取り上げ、更にはスペクタクルな音楽劇としても深化を遂げつつ、実験性とエンターテイメント性を両立させている無二の劇団である。
代表作品は1986年エジンバラ国際芸術祭フリンジファースト受賞『SUNA』、最も上演回数が多い天井棧敷の代表作『奴婢訓』、『リア王』、『レミング』、市外劇『人力飛行機ソロモン』、『身毒丸』等。
SUNA
演劇実験室◉万有引力 第5回公演(再演は第9回・10回・12回・21回・39回・56回)。イギリス、ブラジルツアーも含め、万有引力のオリジナルでは最も上演回数の多い作品。1986年には第40回エジンバラ国際芸術祭にてフリンジ・ファースト(最優秀賞)を受賞。1995年にブラジルに初上陸。この『SUNA』は、「距離」に関わる事物と人間の関係・役割をテーマに、観客と一緒に、劇場空間に巨大都市を持ち込もう
日本の現代演劇ポスターデジタル化プロジェクト2023
150点の現代演劇公演のポスターをアーカイブ。公演のキービジュアルがデジタル展開され難い、1960年代から80年代を中心に、紙で現存するポスターをデジタル化。ポスターのセレクションは、1960年代以降の舞台芸術系のポスターを収集・保存、これまでも研究や数々の展覧会に協力する等、演劇公演のポスターに造詣が深い、ポスターハリス・カンパニー社代表の笹目浩之氏が担当。
ロック・ケチャ・オペラ
演劇実験室◉万有引力第3回公演(及び第6回公演)。3作目にして、初めて劇団外から共同構成台本に堂本正樹氏を迎え、更にはアヤナ舞踏団のダンサー陣、ゲストミュージシャンを招き、トータル・シアターを試みた意欲作。バリ島の伝統芸能ケチャとロック・オペラ、演劇と舞踏が渾然一体となるイメージの饗宴により、観客を目眩く一大叙事詩世界へと導く。