1982年に旗揚げされた。ハレー彗星の来る86年まではとりあえず演劇を続けようという、いい加減なのか厳しい決意なのかよく分からない意志で結成された劇団。このつかみ所のなさが、ヘソのない演劇と言われる北村作品の特色を見事に反映していた。宣言どおり、「彗星'86」は86年に解散し、「プロジェクト・ナビ」なる集団を再結成した。その「プロジェクト・ナビ」も2003年に解散し、北村の戯曲だけを上演する専属劇団「avec ビーズ」や、演劇プロデュース集団「シス・カンパニー」に、作品を書き下ろすフリーの劇作家になっている。2013年に「鶴屋南北賞」を受賞したのは、「シス・カンパニー」で上演された「グッド・バイ」である。
第28回岸田国士戯曲賞を受賞した、北村の代表作の一つ。ミヒャエル・エンデの「モモ」を下敷きにして、人々の想像力を奪う「思う保険」の強盗たちに、職場演劇に打ち込んで、想像力をたくましく使って「楽しく遊ぶ」市役所の演劇部の面々が立ち向かう物語。うらぶれた下町のガード下に座り、所在なげに「お客」を待つ盲目の少女「スモモ」のエピソードが併走する。
日本の現代演劇ポスターデジタル化プロジェクト2023
150点の現代演劇公演のポスターをアーカイブ。公演のキービジュアルがデジタル展開され難い、1960年代から80年代を中心に、紙で現存するポスターをデジタル化。ポスターのセレクションは、1960年代以降の舞台芸術系のポスターを収集・保存、これまでも研究や数々の展覧会に協力する等、演劇公演のポスターに造詣が深い、ポスターハリス・カンパニー社代表の笹目浩之氏が担当。