蟲喰い公演
―――――前世のぼくの子宮は怒りで膨れ来世のわたくしの精巣は哀しみで滾っているこんどうまれたときにはぼくはあなたの白血球になりたい―――――人殺しがみれば、一目で罪を悔い改め。修道女がみれば、一目で恋の歓びを知り。病人がみれば、一目で死の絶望から救われ。奴隷も乞食も木偶の坊も、一目で自らの真価に気がつき。才ある芸術家がみれば、一目で気が狂れる。曰く迷信付き纏う、世にも美しい曼荼羅怪奇譚。
髙山さなえの尼崎市第7回「近松賞」受賞戯曲を平田オリザが演出する。「だまされたことさえ、忘れてしまえるなら・・・」山深い田舎の集落。馬留徳三郎と妻のミネは二人でここに住んでいた。近所の認知症の年寄りや、介護施設から逃げて来る老人達が馬留家に集まり、仲良く助け合いながら生活していた。ある夏の日、徳三郎の息子、雅文から久しぶりに電話がかかって来た。仕事でトラブルがあり、部下が間もなく馬留家に訪れると言