シェイクスピアシリーズⅡ
シェイクスピアが造形した暴君のなかでも最高峰の暴君・リチャード三世を、社会を鋭く考察する劇作家くるみざわしんが、さまざまなタイプの暴君が暴れまわり、力を振るっている現代社会にリンクさせ、暴君である「リチャード三世」を、どう決着をつけるのかを課題とし、改作。独自の身体表現と実験的で洗練された演出でHMP版リチャード三世として再構築した。
女は新しく家庭教師として住み込みで雇われて二週間になる。雇い主も教え子も女をいつまでたっても「新しい先生」と呼び、名前を覚えてくれない。そのうえ、夜になると女の部屋に以前の家庭教師らしき女が現れ、雇い主との情事をはじめることがある。部屋の権利を主張するも、声が届かないのかなにも反応がない。朝になると以前の家庭教師は消えており、雇い主に問いただすもまるで覚えがないという……
水たまりの月にちかづいちゃいけない。だって青空にはおひさましかいないから。そこはいま夜空のかがみじゃないから。水たまりの月をさがしちゃいけない。あなたのあおぞらが星空にかわるから。水たまりの月はかぜにゆれない。虚空のおとのなみにゆれる。水たまりの月はシーラカンス。おんなごころと秋の空。