フィクションでありながらノンフィクションめいた説得力を持つ「奇譚集」をヒントに、演劇で実際に目の前で演じることによる真実味と嘘の融合を目指す。言葉の響きとして思いついた「ハンアイ」と、博愛(=すべての人を広く愛する)ととても似た意味ではあるが、意味合いとして偶然に合致した「汎愛=分け隔てのない愛」に、「奇譚集=ちょっとおかしな、嘘じゃないみたいなまるっきり嘘の話」を組み合わせた作品を3作品上演。
福島三部作 第一部
1961年。東京の大学に通う青年・<穂積 孝>は故郷である福島県双葉町へ帰ろうとしていた。「もう町へは帰らない」と告げるために。北へ向かう汽車の中で孝は謎の「先生」と出会う。「日本はこれからどんどん良くなる」、そう語る先生の言葉に孝は共感するが、家族は誰も孝の考えを理解してくれない。そんな中、彼ら一家の知らぬ背景で、町には大きなうねりが押し寄せていた……。福島県双葉町の住民たちが原発誘致を決定する
福島三部作 第二部
福島第一原発が建設・稼働し、15年が経過した1985年の双葉町。公金の不正支出が問題となり、20年以上に渡って町長を務めてきた田中が電撃辞任した。かつて原発反対派のリーダーとして活動したために議席を失った<穂積 忠>(孝の弟)は、政界から引退しひっそりと暮らしていたが、ある晩、彼の下に2人の男が現れ、説得を始める。「町長選挙に出馬してくれないか、ただし『原発賛成派』として……」。そして1986年、