江戸南郊、麻布が原—異界と人界、男と女。妖かしたちの深い情は、時空を超えて生命を継承していく。作家・小林恭二が自身の小説を戯曲化した“カブキ”的、新・都市伝説。
「處女評判善悪鏡」通称『白浪五人女』。幕末の退廃を反映した因果応報と救いようのない不条理を、流れるような七五調のセリフと浄瑠璃を組み込んだ音楽性豊かな様式美で描き出した"白浪作者"黙阿弥、円熟期の一作。責め場・強請場・愁嘆場、さらに女白浪ならではの色模様を組み込み、からませ、誇張し、洗練させたこの作品を、藤田傳とハチマルが我流の舞台化。歌舞伎という演劇のエネルギーとリアリズムに迫りながら、ハチマル
俳優・左卜全――懐かしの名バイプレイヤー。本作『ボクゼン』は、映画「どん底」で“嘉平”(=巡礼ルカ)を演じた左卜全の壮絶な俳優作業に思いを巡らせながら、一人の俳優とその妻が全身全霊で挑んだ「虚」と「実」のドラマを描くものです。映画「どん底」の重量感溢れるシーンをベースに、俳優・ボクゼンの激烈な内面が「虚実」の組み木となって立ち上がってゆきます。
劇団1980・新宿梁山泊 合同企画公演
150年前の渋谷・道玄坂。宇田川の畔で出逢った若い男女。二人は求め合い、引き裂かれ、異界を駆け、運命を知る。そして永久にも近い時間を隔てて尚、再び出逢う約束を誓う。今生の命を捨てて――三島賞作家・小林恭二が自身の小説『宇田川心中』を初戯曲化し、劇団1980+新宿梁山泊という二つの演劇集団が合同企画で立ち上げた舞台。演出は情念とロマンを明快に、且つビジュアルに放電する金守珍。「青山公園=青山墓地下」