大阪・生野の片隅で、笑顔を忘れたはずの女が笑顔を残した。ある年老いた兄妹達が、長姉の死を目前に集まった古い家。時間が風化を止めた一室で語られるのは思い出話と、迫り来る現実の話。異国を異国のままに生きる者。異国を自国と選ぶ者。静止した部屋に散りばめられた謎。残された『今』の真ん中で、十代の子供達は去りゆく時代をただ見つめている。