さて今回の芝居は、十年がひと昔なら、ふた昔半以上前の東京のはなしです。この時代を「昔のはなし」と思うか「ほんの昨日のはなし」思うかは、見る側の「その時代」への個人的な思い入れによって変わってくるでしょう。ただ言えることは「その時代」が、感覚的な距離感の違いはあったとしても、手繰り寄せれば間違いなくストレートに現在に継ながっているということです。(フライヤーより)
川島芳子(清朝王族の粛王族の娘として生まれ、日本人の養女として育つ。昭和初期に、日本、中国、満蒙を舞台に「男装の麗人」と呼ばれ暗躍した)を現実と虚構が入り混じった一人の女として描く。(以下、プロデューサー中島葵の言葉より)十数年前、川島芳子嬢の写真をフト目にしました。威丈高な男装とは裏腹な、骨細の、あまりに女性的な肉体が不思議な矛盾を生み、底知れぬ暗さをもたらし、最早、滑稽でさえある、という印象で