何度にいる三人姉妹を訪ねた福子はここにあるものは全部自分のものだと言い出す。危機感を感じた3人は自分のものだという証拠を探そうとする。長女が新任教師だった頃の教材「ジャンヌ・ダルク」の物語をきっかけに、それぞれの日常に燻っている思いを仮託するように、ジャンヌの世界が繰り広げられる。
ある日忽然と、アパートから姿を消した哲子。母親、友人、刑事、大家の哲子探しが始まる。ぬか床から抜けてしまった一本の釘のせいで、目眩くミステリーゾーンが六畳間を包み、シンデレラの世界に呑み込まれていく。第30回岸田戯曲賞の候補作となる。