渡良瀬遊水地で葦焼きが行われているなか、ひとりの女がこの世から消えてしまいたいと思った。現代を生きる30代女性、成田みのるが葦原の向こうへ歩いて辿り着いたのは、生まれる前の世界、生成の国である「未世」であった。記憶を失ったみのるは、未世のヒトビトに助けられ、なぜ「未世」へ来たのか思い出すとある行動に出る……。「生まれるとはなにか、この世に存在するとはなにか」を問う、大人のファンタジー。
STORE HOUSE Collection Excellent Works Vol.4
2018年上演作をストアハウスコレクションに合わせ再考した舞台。東日本大震災の記憶を留めた和合亮一の『詩の礫』は優れた現代詩であると同時に優れた記録文学である。遊戯空間では震災以後、和合の現代詩『詩の礫』『詩ノ黙礼』『廃炉詩篇』などを繰り返し演劇化してきた。当時の絶望感と憤りを鮮明に想起させる言葉の力により、本公演が、3・11の記憶を呼び起こし、現代社会を再考するきっかけとなることを願う。