雑然とした空気が漂うある地方都市の駅前。冬、ある女の失踪をきっかけに出会いとすれ違いを繰り返し、やがて街全体を巻き込む大きな事件が起きる。そこには人の「死」の軽さがあった。避けられない終わりへ対峙する、間に合わない者たちの群像劇。
〈あらすじ〉地方都市。妹とその兄は小さな街で行方不明になる。お互いの存在の中のみで。2人は同じ街で生活を続けている。どこにも行けないままどこかへ消えた家族を思ったり忘れたりしながら。ある時、兄は思い出す。2人がすれ違う過去と、そのバスの行き先を。