戯曲中にちりばめられた数々表現が、慣用句として今もロシア語に生き続けているというグリボエードフの名作喜劇『知恵の悲しみ』。モスクワをこき下ろす主人公チャーツキイの長広舌と人々が入り乱れる舞踏会シーンが魅力。固有名が意図的に排され、だれがだれなのかわからない人混みの中で、次第にスケープゴートが特定され噂話が蔓延していく。喜劇的な軽さに満ちたダンスフロアは音楽と光に満ち、愚かしくも見続けてしまう大作。
魅力的な女に惹かれるという〈自然〉に抗いイヴォナとの結婚を切望するフィリップ。この奇妙にねじれたゴンブローヴィチ流愛の物語の主人公を演じるのは、オーディションを経て出演を決めた共に二十歳の若いふたり。リズムとエネルギー溢れる地点の新しいレパートリーとなった。真空パックされた古典劇が息を吹き返し、軽やかなステップを踏みながら悲劇へ加速していく物語に、ヴァツワフ・ジンペルの音楽が伴走する。
