1998年2月、東京都国立市のホテルで、自動車用品会社社長ら3人が、仲良く1本のロープを分け合って首吊り心中を遂げた。3社はともに取引関係にあり、資金繰りに苦心した末の結果だった。うち1人は、かつてダービーも制した名馬のオーナー。絶頂期からどん底の破産まで運命を共にした3人は、自殺直前、一室集まり、酒を酌み交わし、出前した牛丼で最後の晩餐をとったという――舞台は菊屋牛丼店前。滑稽にして実直に生きた
宇宙堂第5回公演
屋根裏部屋で、一人の老女が死に誘われている。「恋」を待ちながら、人々に忘れ去られた作家。骸骨化した彼女の物語たちが静かに老女を眠りに誘う。 老女が眠りについた途端、トランクを抱えた男と家出の大阪少年がこの部屋にやってくる。男はそのトランクに「恋」を閉じ込めていた。若き日の、叶わなかった不思議な女への恋心。あの女はいったい誰だったのか。 そして老女の物語が息を吹き返す。 時は大正。苔の花粉の舞う夜に
夢の中に出てきそうなどこかの街の片隅に、蝶を入れたガラスケースを磨きながらひっそりと暮らす美しい女性「あげは」がいる。あげはと流れ者の青年「ヒカル」との恋物語を軸に、多様な人間模様が展開する。男は帰るべき場所を求め、女はひたすら帰らぬ男を待つのだった。