『デカメロン』は14世紀のペストの流行拡大を背景に書かれた。では現代、コロナの騒擾を抜けだしたら私たちは何を語りあうのか。舞台は避難所。疫病、戦争、災害――人々が何から逃れているのかははっきりしない。舞台上では『人類への提言』という鼎談がおこなわれている。そこに突然闖入してくる『デカメロン』の中の物語、あるいは脈絡のない言葉の朗読。場面と場面の行間から私たちを取り囲む「悪夢」が見えて来る。
『池上show劇場【PREMIUM】』Dプログラム
コロナ禍の創作活動の中から生まれた「一人芝居」のラインナップ。劇団アトリエを劇場にしつらえて行なった本公演『池上show劇場 』【DELUXE】と【PREMIUM】。一人芝居16本のうち、Dプログラムでは3作品を上演。原作と身体一つで格闘する俳優たちのバリエーションが見どころ。上演作品は、『桜の樹の下には』『Kの昇天』(原作:梶井基次郎)、『虔十公園林』(原作:宮沢賢治)、『刺青』(原作:谷崎潤一