日本のダンス作品で、政治や社会を題材にしたものは少ない。しかしケダゴロを率いる下島礼紗は、前作『sky』でカルト教団が起こした地下鉄サリン事件などを描き、海外でも高く評価されてきた。本作は実在の殺人犯・福田和子がモチーフになっている。福田は顔の整形を繰り返しながら約15年間にわたり警察の手を逃れ、時効成立直前に逮捕され世間を騒がせた。本作ではダンサーが天井に張り巡らされたパイプに飛びついて逃げ回り
「地球には重力があるらしいんよ」フクダカズコ...1982年、愛媛県松山市で元同僚ホステスを殺害。犯行後、5459日間に及ぶ整形逃亡劇を繰り広げ、1997年、公訴時効成立21日前に逮捕された女。決して実録ではない。地球という檻に幽閉された女の実存が、重力の中を彷徨い、戯れ、抗い、逃亡を図る。東京・下北沢の小劇場B1にて2021年初演の『ビコーズカズコーズ』を大幅に再構築し、生まれ変わった<完全版>
天狗伝説が語られ、義経が修業を積んだ場として知られる京都・鞍馬山。平成30年9月4日に発生した台風第21号は鞍馬に多大なる被害を与えた。道を塞ぐ「倒木」をモチーフに、倒れてしまった命を起こしていくダンスパフォーマンス。無数の段ボールは、積まれて崩れるを繰り返す。”鞍馬の火祭”を劇場に巻き起こし、魂の踊りで命に火を灯す。自然の猛威という人間を超えたスケールの基盤に、身体で対峙する代表作を東京