小説家を志して、芸大に進学した千夏と、縫製工場で働く母・昭子。決して裕福ではないが、笑いの絶えない母娘の二人暮らし。その裏には、小さなわだかまりが横たわっているが、そこに触れないことが暗黙の了解となっている。あるとき、昭子の会社に中途採用でやってきた木村からの提案で、サーカスを観に行く約束が交わされた。ひょんなことから、千夏の幼馴染で、密かに思いを寄せる光輝と、昭子の同僚で、千夏が憧れる女性、透子
青年は目を覚ますと、精神病院にいた。そばにいるのは、精神科医。刑務官。そして夜な夜なあらわれる夢とも現実ともわからない少女である。ある日、精神科医の元を弁護士が訪ねてくる。国選で青年の弁護士となった彼は、いまだ、青年に面会することもできていない。5人の会話は迷走し、もつれ、記憶と現在と精神を行ったり来たりしながら、カルト宗教施設で育った子供が犯した犯罪を浮かび上がらせる。
ある日突然、死んだ友人の幻影を見るようになった小説家、稔梨。彼女は友人の民俗学者と共に、海沿いの小さな集落に住む霊能力者のもとを訪れる。しかし彼女が尋ねたとき、集落は年に一度の祭『おわたり』の準備に大わらわだった。『おわたり』とは、その年に海で死んだ者たちの魂がいっせいに黄泉の国へと渡ること。 死者と生者が混在するひと夜。海は闇に溶け出し、人の秘密があふれ出す。
永井愛が2003年に他劇団に書き下ろした人気作を、自らの演出で上演。セレブな専業主婦だった秋子は、夫の会社が倒産したため、働くことを決意。しかし、パートタイマーとして採用されたスーパー「フレッシュかねだ」は、あらゆる不正が横行するディストピア的世界だった。正義感が強く世間知らずで他のスタッフから浮いてしまう秋子は、大手企業をリストラされ、この店で屈辱に耐えながら働く貫井と心を通わせるようになるが…
この作品は、児童文学者・舟崎克彦さんのすばらしい想像力の世界から生まれた「ガヤガヤムッツリ」と「まほうのパチクリ」の二冊の本から、脚色させていただきました。「ガヤガヤ」と「ムッツリ」と「パチクリ」は、そのキャラクターと欲求がはっきりちがう、身近でわかりやすい登場人物です。その三人の関係の面白さやストーリー展開の楽しさを、子どもたちの目に、耳に、心に、やさしく刺激的にお届けします。
このお芝居にでてくる少年の名前の「セドリ」というのは、「鉄の小石」という意味です。朝鮮は、きわめて地下資源に恵まれた国ですが、朝鮮のすべての人々が、民族の愛と希望と自信を、ダイヤモンドやルビーのような希少価値の高い宝石ではなく、ごくありふれた「鉄の小石」の名前を持った少年像にこめて、このお話を育てあげたのです。
第二次世界大戦後のイギリス。エニグマと呼ばれる複雑難解なドイツの暗号を解読し、イギリスを勝利へ導いたアラン・チューリング。しかし、誰も彼のその功績を知らない。この任務は戦争が終わっても決して口にしてはならなかったのだ。そしてもう一つ、彼には人に言えない秘密があった。同性愛が犯罪として扱われる時代、彼は同性愛者だった。ある日、空き巣被害にあったチューリングの自宅に一人の刑事がやってくる。あらゆる秘密
幼馴染のアンジェリコとラファエロは、繭期を迎えクランで再会。ディエゴ、エミール、ジュリオという上級生とも出会い友情のような絆を育むも、とある事件をきっかけにその友情は脆くも崩れてしまう。少年たちの束の間の青春と決裂を描いた「月の翳り」編。その後の物語として、『TRUMP』のもうひとりの主人公・呪われた少年ウル、そしてデリコ家の知られざる父子の想い、結末が描かれた「星ひとつ」編をダブル上演。TRUM