演劇カンパニー「チェルフィッチュ」の主宰・劇作家として、現代社会に生きる人々を独自の言語と身体感覚を用いて鮮やかに描き、2011年の震災後も日本の社会状況を露わに批評した作品を発表してきた岡田利規。本作では、2015年9月に韓国・光州にオープンしたAsian Arts Theatreからの委嘱を受け、初めて日本人以外の俳優との創作に臨みました。「日韓共同制作」という枠組みでしか描けない物語とその表象を、身近な「野球」を題材にすることで最大限に追求し、「アメリカ」という巨大な存在との関係性について、これまでにないスケールで社会への重要な問いを投げかけます。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
1973年横浜生まれ、熊本在住。演劇作家/小説家/チェルフィッチュ主宰。活動は従来の演劇の概念を覆すとみなされ国内外で注目される。2005年『三月の5日間』で第49回岸田國士戯曲賞を受賞。同年7月『クーラー』で「TOYOTA CHOREOGRAPHY AWARD 2005ー次代を担う振付家の発掘ー」最終選考会に出場。2007年デビュー小説集『わたしたちに許された特別な時間の終わり』(新潮社)を発表し、翌年第二回大江健三郎賞受賞。2012年より岸田國士戯曲賞の審査員を務める。2013年初の演劇論集『遡行 変形していくための演劇論』、2014年戯曲集『現在地』(共に河出書房新社)、2020年戯曲集『未練の幽霊と怪物 挫波/敦賀』(白水社)を刊行。2016年よりドイツ有数の公立劇場ミュンヘン・カンマーシュピーレのレパートリー作品演出を4シーズンにわたって務め、2020年『The Vacuum Cleaner』が、ドイツの演劇祭Theatertreffenの“注目すべき10作品”に選出。2018年8月にはタイの小説家、ウティット・へーマムーンの原作を舞台化した『プラータナー:憑依のポートレート』をバンコク、12月にパリ、2019年6〜7月に東京で上演し、2020年2月に第27回読売演劇大賞 選考委員特別賞を受賞。2020年戯曲集『未練の幽霊と怪物 挫波/敦賀』(白水社)を刊行し、2021年2月に第72回読売文学賞 戯曲・シナリオ賞を受賞。