そのとき二人の背後で舞台装置だけが取り替えられた。燃えさかる炎と冷たい壁、ゴミの山、娼婦に反逆者、新しいスピード、新しい病気、崩壊する国家、庭園と夜、そして様々な情景のリアルな大洪水……それでもあたし達二人は、どこまでも一種に歩んでいく。そして、何が起きたのか訊ね合う。だってあたし達はカップル、一匹の四足動物。そして四つ足の人間こそは、この地上でもっとも高度に進化した動物。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
1954年創立(劇団三期会1967年東京演劇アンサンブルに改名)。演出家広渡常敏を中心にベルトルト・ブレヒトの『今日の世界は演劇によって表現できるか?』を問い続け、現代演劇の創造を続けている。
1977年東京武蔵関‘ブレヒトの芝居小屋’を拠点として、日本・海外の創作、翻訳戯曲を上演。海外公演や全国演劇鑑賞会、学校の演劇鑑賞教室などで旅公演を行っている。児童演劇も創立当初から全国のおやこ劇場とともに沢山の作品をうみだしてきた。講演会、シンポジウムなどで地域との交流など活動は幅広い。
2019年本拠地を埼玉県に移し‘野火止RAUM’がはじまった。
悲恋の伝説のある湖アウルレイク。マイはこの湖のほとりに瀟洒な家を創る。いつか戻ってくるだろうと待ち続けた音楽家の夫ロバートが5年ぶりに帰還した。マイの祖母で百歳になるフレクローンおばあちゃん、マイのおばのジュリーとアグネス、マイの姉妹コニーとベック、そして語り手としても登場する娘のミリー、男に振りまわされながら生きる女たちのそれぞれの物語が交錯する。一年後、マイの幸福に亀裂が入る。
大杉栄と伊藤野枝の娘として生まれたルイズ。彼女は国賊の娘として周囲の特異な視線にさらされながら、自分の生き方を探し続ける。姉・魔子の攻撃的で、自虐的な生き方と対照的な静かな暮らしを選択したルイズの目に、次第に父、母の残してくれた思想がはっきりと浮かびが上がってくる。関東大震災、第二次世界大戦、戦後の復興を背景に、ルイズの半生が描かれる大作。立原りゅうと山内久のコンビが、松下竜一の原作を見事に脚色、
敗戦の夏、気象台の人々は気象関係の一切の資料を焼かなければならなかった。アメリカの占領により軍部は解体され、気象台もその傘下から解き放たれた。しかし焼却された資料には、暗号解読の乱数表などの特務班の資料だけでなく、気象部員の苦心の結晶である調査研究の集積が含まれていた。国家の管理のもとに、気象台はその自由な気象の精神を潰されていく。日本の民主化と反動へ移り変わる嵐の時代を舞台に、二人の気象人の生き
『桜の森の満開の下』で演劇が、詩であることに私は挑戦した。作家坂口安吾は散文でこの小説を書いた。安吾が散文をつきつめることから生まれた一点の凝縮力がリズムになり、新しい形式の芝居をつくり出せたと思う。「山賊の言葉でなければ言えないことがあるぜ」山賊の言葉は詩だといえる。マイノリティであるから真実がつかめる。“沈黙”がその言葉かもしれない。散文が演劇によって詩の世界を抽象することを、ベケットの作品を