「ワタクシというものをすべての起点としてしか考えられないことから来る不幸と幸福。それらを大きな器の中に入れてシェイクしたらどんな味になるのだろうか。
からだという器からズブズブと零れ落ちてしまう蜜を持ったものたちは、そこここに痕跡を残し身を隠すことができない。巧妙に足跡を消しても匂いがあたりにかすかに残る。そのような人々はあきらめて、ダンスを踊る他はない。互いの匂いが混じりあい、私の匂いがかき消されるところまで踊るのだ。からだは空気を攪拌し汗は蒸気となって雲を作る。」―――このダンスのテキストはまず、「踊る人々」そのものである。様々な視覚が踊るからだの中で交通することから始まった。
ダンサーとコレオグラファーは向かい合ってたくさんの時間を過ごし、今、並んでもうひとつの場所を見ている。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
1989年結成。山田せつ子主宰。新体操、民族舞踊、モダンダンス、演劇など様々な背景をもつダンサーの身体性を表現につなげ、独自のダンス世界を展開。ダンスによる他者とのコミュニケーションの可能性を追求し創作を行う。代表作『夢見る土地』『翔ぶ娘』『愛情十八番』等。98年より実験シリーズ「ダンスの発明」を行い、ソロ・デュオ・グループ作品など、ダンサー其々の斬新な作品を発表し注目を集める。ここで発表された天野由起子、尹明希の作品は第1回トヨタアワード・オーディエンス賞、第1回トリイアワード大賞等を受賞。