舞台となるのは地方のとある会館。人気ミュージカルの1001回目の公演が始まるという空っぽのステージだ。実は1000回で公演は終了し舞台美術も廃棄済みだったが、主演俳優がどうしても追加公演を主張して、急遽やることになった。制作費が足りずスタッフも人手不足。舞台監督はメインは初めてという新人。ただでさえ不安なところに、主演女優は到着が遅れ、開幕数時間前だというのに舞台セットが到着していない! 本当に幕が開けられるのかというトラブル続出だが、そこを何とか乗り切ろうとするスタッフたちの奮闘ぶりが、軽快な音楽とダンスを交えて描かれていくオリジナル・ミュージカル。からっぽの素舞台に始まって、大道具のセットが組まれ、本番を迎え、また空っぽの舞台に戻るまで、機転をきかせてトラブルを乗り越える、舞台を支える人たちの誇りと情熱が、エンタテイメント作品に凝縮された。脚本は倉持裕、演出はラサール石井。初演は2015年、KAAT神奈川芸術劇場プロデュースで、本映像はその再演版。
ラサール石井
1955年生、大阪出身。大学在学中に劇団テアトル・エコー養成所に入所。その後「コント赤信号」を結成し1980年テレビデビュー、タレントとして人気を博す。俳優としても数多くの作品に出演。アニメ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』では両津勘吉役を長くつとめる。舞台では出演のみならず、脚本・演出家としても幅広く多くの作品を手掛けている。原案・作詞・演出を努めた『HEADS UP!』(2015年)で第23回読売演劇大賞優秀演出家賞受賞。
倉持 裕
1972年、神奈川県出身。2000年、劇団ペンギンプルペイルパイルズを旗揚げ、 作・演出を務める。04年『ワンマン・ショー』にて岸田國士戯曲賞受賞。 劇団公演のほかに『お勢登場』『上を下へのジレッタ』『鎌塚氏、舞い散る』 (以上、作・演出)、『乱鶯』『けむりの軍団』(以上脚本)、映画『十二人の死にたい子供たち』『ゾッキ』(以上脚本) TV『LIFE!〜人生に捧げるコント〜』など幅広く活躍している。