演劇
アーカイブのみ

奇蹟の人 ものには名前がある

奇蹟の人 ものには名前がある
撮影:高岩震
奇蹟の人 ものには名前がある
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奇蹟の人 ものには名前がある
演劇
アーカイブのみ

奇蹟の人 ものには名前がある

  • 上演団体:東京演劇アンサンブル
  • 東京演劇アンサンブル
  • 児童青少年演劇フェスティバル ’95夏こどもたち未来参加作品

盲学校を出たばかりの20才のアニー・サリヴァンは、ケラー家からの要請を受けて、家庭教師として北部からやって来る。娘のヘレンは乳児のころに熱病に冒され、視力と聴力を失い、ことばも獲得できないまま、野性児のように生きていた。親たちは施設に入れようとも考えたが、あまりの環境の悪さに諦め、人間として何も通じないヘレンを持て余している。しつけを期待する親たちに対して、アニーはヘレンに言葉を教えようとする。「言葉など無理に決まっている」という無理解と、好きなようにさせてやりたいという愛情と甘やかしに真っ向から立ち向かい、アニーはヘレンと心をかよわせ、ヘレンの中に眠っている知性を揺り動かそうとする。(一幕ラストの乱闘食堂は、若いアニーの気負いとヘレンの反抗が真っ向から衝突。息もつかせぬ緊迫したシーンだ。)失敗に次ぐ失敗の後、アニーはヘレンとふたりっきりで、甘やかす環境のない生活を要求する。生活のなかにあるすべてのもの、ことを指文字にしてつづっていくアニー。期限の二週間がたって、一見おとなしく従うことを覚えたかにみえたヘレンが、家族の元に戻ると再び反抗する。あの乱闘が再現されるのかと思った瞬間、ヘレンのなかでいままでのすべてモヤモヤとしたものがカチリとはまる。WATER。……。
偉人伝として有名なヘレン・ケラーの物語を、広渡常敏は「言葉」に焦点を絞って脚色。アニーがヘレンの手のひらに打ち続ける指文字は、スライドで逐次背景に映し出され、言葉があるということも知らないヘレンに、言葉が人や世界と自分をつなぐツールであることを教え続けるその途方もない努力を、淡々と映しつづける。そしてこの努力が、アニーの愛と、家族の愛によって、ヘレンのなかにある「暗闇を脱したい欲望」とつながった時、一筋の希望として、文字が、言葉が、ヘレンの中に落ちていくのだ。
遅々として進まない状況、刻々と変わっていく感情を、池辺晋一郎のジャズの調べにのせてスタイリッシュに描く東京演劇アンサンブルの傑作である。

視聴方法

(要予約)早稲田大学演劇博物館
無償

演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
事前予約フォームより予約の上、ご来館ください。

デジタルアーカイブデータ

利用方法/利用条件について
映像管理者
東京演劇アンサンブル
収録日
1995/7/26(Wed)
権利処理状況
アーカイブのみ
上演分数
135分
映像分数
135分

作品情報

上演情報
1971/2/23(Tue)~1971/2/28(Sun)朝日生命ホール(東京都)
1987/2/2(Mon)~1987/2/10(Tue)よみうり大手町ホール(東京都)
1995/4/7(Fri)~1995/4/16(Sun)ブレヒトの芝居小屋(東京都)
1995/7/26(Wed)~1995/7/26(Wed)俳優座劇場(東京都)
1996/4/25(Thu)~1996/4/29(Mon)ブレヒトの芝居小屋(東京都)
2001/7/19(Thu)~2001/7/22(Sun)六行会ホール(東京都)
2001/8/13(Mon)~2001/8/13(Mon)国立オリンピック記念青少年総合センター小ホール(東京都)
出演者・
スタッフ
アニー サリヴァン
根本 陽子(東京演劇アンサンブル)
ヘレンケラー
益井 すお美(東京演劇アンサンブル)
アーサーケラー
長畑 豊(東京演劇アンサンブル)
ケイトケラー
真野 季節(東京演劇アンサンブル)
ジェイムスケラー
月原 豊(東京演劇アンサンブル)
ヴィニー
鈴木 清乃(東京演劇アンサンブル)
医師
深山 忠昭(東京演劇アンサンブル)
脚本・演出
広渡 常敏(東京演劇アンサンブル)
舞台美術
岡島 茂夫(東京演劇アンサンブル)
照明
大鷲 良一
音響効果
田村 悳
衣装
加納 豊美
受賞歴など
厚労省児童福祉審議会特別推薦
岡山市民劇場賞

上演団体情報

東京演劇アンサンブル

団体詳細・作品一覧を見る

1954年創立(劇団三期会1967年東京演劇アンサンブルに改名)。演出家広渡常敏を中心にベルトルト・ブレヒトの『今日の世界は演劇によって表現できるか?』を問い続け、現代演劇の創造を続けている。
1977年東京武蔵関‘ブレヒトの芝居小屋’を拠点として、日本・海外の創作、翻訳戯曲を上演。海外公演や全国演劇鑑賞会、学校の演劇鑑賞教室などで旅公演を行っている。児童演劇も創立当初から全国のおやこ劇場とともに沢山の作品をうみだしてきた。講演会、シンポジウムなどで地域との交流など活動は幅広い。
2019年本拠地を埼玉県に移し‘野火止RAUM’がはじまった。

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