中村座は1940年代の葛飾の荒川土手の原っぱや、そこで遊ぶ大人だか子どもだかわからない人たちを主人公に、作者の育った原風景である下町の少年時代を描いた作品が多い。記憶のフィクション化とノスタルジーの舞台。
本作の正篇は、敗戦直後、駅向こうの怪しげな場所に出かけた悪童たちがそこで甘納豆をくれた娼婦を忘れられず、愛の手紙を書くが、娼婦はその返信にそれぞれ難題を与えるという物語で、娼婦はヤクザに殺され、原っぱの池に投げ込まれる。悪童たちは娼婦の残した難題を胸に彼女の三三回忌の今も子供の姿で供養する。この改変作は小学生たちの世界と大人になった彼らの世界が往還し、過去の追体験と痛ましい幻想が繰り返される。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
1967年、金杉忠男が演劇集団「その他の人々」を旗揚げ。1971年、劇団中村座に改名。1990年、中村座解散。その後金杉忠男アソシエーツを結成。1997年11月12日、金杉ががんのため死去。金杉忠男アソシエーツ解散。