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エリック・サティの「梨の形をした3つの小品」を使用し、口をあけて食べる仕草を振付に入れながらも絵画的でロマンティックな作品に仕上げている。
泉勝志が折田克子に振付けたソロ作品。泉は折田のエモーショナルでウエットでリリカルな自己の感情を主観的、情緒的に表現する能力を見事に引き出した作品に仕上げた。
少女の軽やかなスキップ。そのシンプルで颯爽とした動きに対して、時間をかけて、一枚ずつ洋服を重ねて着ていく行為を見せる。少女はどんどん着膨れして窮屈な大人になっていき、最後は褞袍(どてら)をまとう。その姿で一生懸命動こうとする滑稽な大人の世界を描きあげる。折田克子は「石井みどりの舞踊家のためのリトミック」というメソッドをいかし、あえて動きの基本のみで自由・不自由が伝わる作品に仕上げている。
タイトルの「憶の市」とは、記憶や意識下の時間を示す。多くの人間がおりなす時代、その背景となる歴史、人間の瞬時のエネルギー、解明し尽くせない自然と人間の神秘的な部分などを、オリジナリティーあふれる現代的なタッチで表現した舞踊作品である。