青山演劇フェスティバル「別役実の世界1997」
『スパイものがたり』は、演劇企画集団66によって1970年に初演された。初演のパンフレットには《これは、幕間小景とエピローグのある四場のミュージカル芝居であり、同時に、舞台空間に於ける天文学である。》とあり、小室等が率いる楽団六文銭が音楽を演奏。劇中歌の「雨が空から降れば」はフォークソングの人気曲となった。本映像は「別役実の世界1997」をテーマに掲げた青山演劇フェスティバルの第一弾となった再演版
さて今回の芝居は、十年がひと昔なら、ふた昔半以上前の東京のはなしです。この時代を「昔のはなし」と思うか「ほんの昨日のはなし」思うかは、見る側の「その時代」への個人的な思い入れによって変わってくるでしょう。ただ言えることは「その時代」が、感覚的な距離感の違いはあったとしても、手繰り寄せれば間違いなくストレートに現在に継ながっているということです。(フライヤーより)
カフカ的緊張感と平衡感覚によって繰り広げられる、ケラリーノ・ナンセンスの金字塔。フリーライター・高野正五郎(藤田秀世)宅に1本の間違い電話が入った。それ以来、妻・マチルダ(峯村リエ)は「うちはソバ屋じゃないです」と言いながら、せっせと出前に勤しむようになる。高野は反対しながらも出前持ちやそば職人を雇い、自らの行動さえも矛盾してゆく。同じ頃、小説の仕事が舞い込んできた高野は張り切って構想を練るが、