舞台は小さなふし工場、富田商店。切り盛りするのは富田家の次女喜美子。工場の経営は厳しく加えてコロナ禍が追い打ちをかける。姉のしおりは左腕が不自由だが快活で目立つ。長年姉と比べられてきた喜美子は素直に助けを求められない。コロナによって止まった世の中、不謹慎ながらホッとした喜美子。せっかく止まった工場をしおりはまた動かそうとしている。埋まらない姉妹の溝。そんな折、喜美子は忍び込んだ空き巣と出くわす。
舞台は小さな港町の元スナック。数年前に店をたたみ今はもう夜の色香のかけらもなく、家庭が侵食してきている。長年ここを営んできた富澤家の母、三江が急逝して3日がたった。その母がいなくなった今、元「スナックみつ江」とお互いにへち(そっぽ)をむいた家族三人が残された。そこへ訪ねてきた「理恵」。理恵が語る「三江」は、家族の知る母とはまるで違っていた前代未聞のマイナー方言「幡多弁」で、家族という「がわ」だけが