敗戦直後の東京。焼け跡の洋間を舞台に繰り広げられる家族の物語。体制が変わった事を機に教職を休んでいる柴田の家に、戦傷を負った教え子が訪れるところから物語は始まる。実直に教壇への復帰を求める教え子の頼みを、柔和にしかしかたくなに拒む柴田。金に困り飢えにさいなまれている柴田とその家族たちの間に、だんだんと戦争が変えてしまった人間像が浮き彫りにされていく。敗戦が市井のひとびとから奪ったものは、命や食料だ
世田谷シルク第10回公演
シーンは自殺した両親の葬式から始まる。その死因を探る委員会。残された盲の姉と弟は、両親が旅行者から借りたという金を返済していくことになるが、その最中に弟は若い女に出会い、自由を知る。また殺人を犯す。親類や町の人々は奇妙な親切心で刑務所の弟を援護するが、思い通りにならないとわかると激怒する。社会とその外側の世界を、孤独とともに舞台化。
福島三部作 第一部
1961年。東京の大学に通う青年・<穂積 孝>は故郷である福島県双葉町へ帰ろうとしていた。「もう町へは帰らない」と告げるために。北へ向かう汽車の中で孝は謎の「先生」と出会う。「日本はこれからどんどん良くなる」、そう語る先生の言葉に孝は共感するが、家族は誰も孝の考えを理解してくれない。そんな中、彼ら一家の知らぬ背景で、町には大きなうねりが押し寄せていた……。福島県双葉町の住民たちが原発誘致を決定する
福島三部作 第二部
福島第一原発が建設・稼働し、15年が経過した1985年の双葉町。公金の不正支出が問題となり、20年以上に渡って町長を務めてきた田中が電撃辞任した。かつて原発反対派のリーダーとして活動したために議席を失った<穂積 忠>(孝の弟)は、政界から引退しひっそりと暮らしていたが、ある晩、彼の下に2人の男が現れ、説得を始める。「町長選挙に出馬してくれないか、ただし『原発賛成派』として……」。そして1986年、