敗戦直後の東京。焼け跡の洋間を舞台に繰り広げられる家族の物語。体制が変わった事を機に教職を休んでいる柴田の家に、戦傷を負った教え子が訪れるところから物語は始まる。実直に教壇への復帰を求める教え子の頼みを、柔和にしかしかたくなに拒む柴田。金に困り飢えにさいなまれている柴田とその家族たちの間に、だんだんと戦争が変えてしまった人間像が浮き彫りにされていく。敗戦が市井のひとびとから奪ったものは、命や食料だけではなかった。
重厚な物語を、時間堂ならではの、軽やかな鋭い演技で見せる、ストレートな演劇をお届けします。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
1997年演出家・黒澤世莉のユニットとして設立。2009年劇団化。
マイズナー・テクニックを基礎とし、国内外の古典から書き下ろしまで幅広い演目を「俳優の声と身体と関係性だけでシンプルに立ち上げる」上演スタイルが特長。
2012年、はじめての全国ツアーを実施、以降、全国各地で作品創作・上演やワークショップを行なう。
2014年、スタジオ「十色庵」を開設。2016年末の『ローザ』を最後に解散。
『衝突と分裂、あるいは融合』で札幌劇場祭TGR2014 特別賞(作品賞)を受賞。