トリコ・A 演劇公演2021
脳性麻痺を患う主人公は、小さな町にある小さな寺で、両親と暮らしている。彼女の定位置は大きな松の木のある庭に面した縁側。ある時は父の読むお経とともに、ある時は縫い物をする母とともに、彼女の毎日は過ぎていた。ある日、父が倒れ、彼女のもとへ初めてヘルパーがやってくる。ところが主人公は、ヘルパーとどう接して良いのかわからない。彼女は悩む。私はヘルパーに、何をしてほしいのか。そもそも私はいったい、何を望んで
江戸川乱歩の児童文学の金字塔。変装を得意とする盗賊「怪人二十面相」と日本一の名探偵「明智小五郎」との、力と力、知恵と知恵が火花を散らす大闘争の物語。子供の頃、誰もがワクワクしながらページをめくったあの興奮はそのままに、肉薄すればするほど揺らぐ二十面相の「存在」をつまびらかにあぶり出す。作曲家の増田真結氏を迎え、「光と音」、「身体と音」で織り成す、全く新しい『怪人二十面相』。
建築家の中西義照氏・住まい方アドバイザーの中西千恵氏のご夫妻が作・出演、THEATRE E9 KYOTO芸術監督のあごうさとしが演出する演劇公演。とある土地での家の妄想──。子どもが独立した後、プロの建築家が新たに家を建てるとしたらどんな建築が描かれるのか。その実際の建築計画、プロセスを演劇作品として上演。
アマゾネスの女王・ペンテジレーアと英雄アキレスの恋を描いた悲劇の戯曲。哲学者の仲正昌樹氏が翻訳した50年ぶりの新訳を元に、強大な大国ギリシャを大きな力を働かせる経済市場原理として、辺境の地アマゾン女族を「THEATRE E9 KYOTO」がある東九条地域に象徴させて新たな演出を行う。また、俳優と音楽家とダンサーと美術家の異なった言語で儀礼的な演劇作品を試みる。
THEATRE E9 KYOTOのある京都・東九条の地域に移住してきたフリーアナウンサー・能政夕介と、芸術監督・あごうさとしによる演劇公演。1925年、日本で最初の放送「あーあー、聞こえますか?こちらは東京放送局であります」という歴史的な第一声から約100年。言葉の変遷に、都市計画の変更による新たなまちづくりが始まろうとしている東九条のまちの変遷を重ね合わせて、過去・現在・未来を見つめる企画。
パクチーを育ててるんだと彼女は嘘をついたとある地方の寂れた町。結のアパートは町の真ん中からさらに離れたところにある。鉢植えばかりになった小さな和室にももう慣れた。慣れたというより違和感に悩む余裕がなかった。種まきから収穫まで淡々と、けれども抜かりなく育てる日々。大学の授業も抜かりなくこなす日々。そうしてすべてにおいて抜かりなくやっていたはずなのに、いつの間にか取り返しがつかないことになっていると気
現代日本からは時代も場所も遠く離れた世界。街を追われて故郷へ向かう女たちの物語。五人がいるところに旅費と切符の援助は三人分しかないと言われる。本当の姉妹は誰なのか、物的証拠や記憶をたよりに確かめ合うなか、戦争、法やその暴力、また家族を結びつけるものは果たしてなんなのかという問いを投げかける作品。2006年の初演から2023年までに4回の国内再演や翻訳されての海外公演も果たした下鴨車窓の代表作。
恋を成就させるために手段を問わず行動する女の子を題材に、リアリティ溢れる繊細な人間関係を描く、努力クラブの本公演。「俺のこと好き?」「好きだよ」「本当に好き?」「なんで人の気持ちをうたがうかな」「じゃあ、どこが好きなの?」「難しいことを訊くね」「俺のこと本当に好き?」「わかんない」「そっか」
太宰治の長編戯曲風小説(レーゼドラマ)を、軽快にかつ濃密にお届けする一幕劇。太平洋戦争開戦の直前・1941年初夏、太宰治はシェイクスピア『ハムレット』の翻案(パロディ)を書きあげた。登場人物たちの懸命で滑稽な生き方は、2024年に生きる私たちにどのように響くのか。豊岡演劇祭2022(於:出石永楽館)とSCOTサマー•シーズン2022(於:利賀山房)で好評を博した『新ハムレット』の東京•京都での再演