「俺の頭ん中にゃちっちゃな部屋があって、木造モルタルのその古いアパートで 誰かがひっそりと待ってるんだ。そこから俺は出かけたのに違いないが、出かけてもなんだかそこに帰るために出かけてるみたいでね、どこかに踏み込んで「おかえり」なんて声かけられたら、俺、狂うかもしれない。」地図を売り歩く中年のサラリーマンが迷い込んだ古いアパート。平家なのに中に入ると大きな階段のあるアパートの、その階段から、男の幼い
泉の辺りで休む旅芸人、二人。名前はおかめとひょっとこ。どうやら道に迷ったようだ。ひょっとこは知恵おくれのおかめに愛想をつかして別れたがっている。おかめはどこまでもついていくと言う。 旅に疲れたひょっとこは人形を取り出し、物語をはじめる。 アジアのどこか。日本のどこか。南の島。泉の辺りでクリーニング屋を営む三姉妹とその弟の物語。
水に半分浸かったような浅草の廃墟「神谷バー」で夕一(ゆういち)という男と名ばかりの結婚生活をするモモが腹話術師の朝顔と再会する。モモはどん詰まりの生活に疲れた朝顔が酔ったはずみで愛を語りかけたビニ本のモデル女だった…。 蜷川幸雄らと「現代人劇場」「櫻社」で活発な演劇運動をしてきた石橋蓮司が緑魔子ら7人の同志と共に旗揚げした劇団第七病棟の4作目(旗揚げ公演は『ハーメルンの鼠』(唐十郎作)、第2作『ふ
コージロさんは歯が痛くてユーウツだった。水道の蛇口が壊れてユーウツだった。なにより、ハラダさんが家を立ち退いてくれないのでユーウツだった……。