―これは井上ひさしが愛してやまない日本語に、不思議でかわいらしく、輝くような生命を与えてくれた、ある岩手花巻人の評伝劇―詩人にして童話作家、宗教家で音楽家、科学者で農業技師、土壌改良家で造園技師、教師で社会運動家。しなやかで堅固な信念を持ち、夭逝した宮沢賢治。「世界ぜんたいが幸福にならないうちは、個人の幸福はありえない」そう信じた宮沢賢治が夢見たイーハトーボは果てしなく遠かった。
宇宙堂第5回公演
屋根裏部屋で、一人の老女が死に誘われている。「恋」を待ちながら、人々に忘れ去られた作家。骸骨化した彼女の物語たちが静かに老女を眠りに誘う。 老女が眠りについた途端、トランクを抱えた男と家出の大阪少年がこの部屋にやってくる。男はそのトランクに「恋」を閉じ込めていた。若き日の、叶わなかった不思議な女への恋心。あの女はいったい誰だったのか。 そして老女の物語が息を吹き返す。 時は大正。苔の花粉の舞う夜に
55歳の万里子は家を飛び出した。「専業主婦に見切りをつけて、離婚覚悟の一大決心、あとは野となれ山となれ」飛び込んだ先は大衆演劇の旅一座。座員は三人だけである。三人は一座を立て直す為に新作の創作に取り掛かるが上手くいかない。次第にそれぞれの過去とかかえる苦悩が浮かび上がる。そして三人は大衆演劇の神様:長谷川伸の世界を目指し始める。果たして、一座の復活をかけた新作は完成するのか。大衆演劇を舞台に繰り広
一般的にオジサンというと三十代から五十代後半までであろうか。五十代ともなれば男としてまだまだ花を咲かせたいと思う一方、もはやこれまで、そろそろ老後の心配でもしようかと思ったり、岐路に立つ年頃である。ここに愛しの女性を待っているようにしか見えない元気そうな五十代の三人の男がいる。・・・しかし、女性は現れない。・・・そのうち、男たちによる虚々実々の攻防戦が繰り広げられるはずだ。