今作は、サミュエル・ベケットの戯曲「ロッカバイ」に触発され創作した。 「ロッカバイ」は、家の中で死と向かい合う老女の孤絶を描いていたが、今作は、公園にいる家を失った一人の女にフォーカスした。帰る家を失った女が、かつて住んでいた幻影の家に戻っていく思いにとらわれている。 コロナ禍で仕事や家を失い、公共の場でさらに孤独を深める人たち、その老い、死など現代社会の課題を鮮明に浮彫にする。さらに、今もなお世
「売り子」は絶えず可動式の椅子に座り、腰は2本の伸縮性のロープで結ばれ、その端はKIOSKの店舗の中に繋がれている。「店舗」=KIOSKと化した身体は、「店を開店し商品を並べる」という労働行為を、「機械的」動作に象徴化した反復運動によって表す。〈拘束された身体〉を駆使し労働をする女からは、被抑圧者の無情や自由の希求、労働の労苦とそれに熟練した誇りなど、様々な感情の様相が浮かび上がる。