(フライヤーより抜粋)さつき荘は古い。何人もの住人が入れ替り立ち替わり、七つの部屋を通りすぎていった。学生、サラリーマン、新聞配達員、浪人、占い師、片目の運転手、手品師、宗教屋、世間のダニ、酒屋の店員、花屋の店員、プータロー、等々……そして今、九月。さつき荘には、六人の男達が住んでいる。
当作品「今日までどうもありがとう」は14年間の公演活動最後の作品である。カクスコの芝居は旗揚げ以来、一貫して冴えない男達の何気ない日常を切り取ったシーンを繋いだオムニバス芝居で、大きなストーリ展開はなくても客席は常に笑いに包まれ当時小劇場ブームのなかでも異色な劇団として多くのファンを魅了した。最後となったこの作品はカクスコの総集編として特に人気のあったシーン・代表作を選び構成されていてカクスコの魅
(フライヤーより)10年前、つまり西暦2000年の12月24日に発生した、〈メリークリスマス〉という名前のウイルスによってトーキョーと呼ばれるアジアの一都市は破壊的な打撃を受ける。町は廃墟と化した。廃墟の象徴ともいうべき99階の建物もまた、いまでは使う者もいないまま、あたかも巨大なジャンクとして屹立している。廊下から、その扉をノックすれば、向こうからもノックする者がいるという。扉を開けて向こうから