電信柱、街灯、ポリバケツ・・・その上に登場するホームレス風の爺さんとばあさんが、ダンボールを引きずって現れるのだから、もうこれは完璧な別役実の世界。路上でのコント風の会話がいつの間にか愛のゲームのような濃密で危険な関係になっていく・・・。何かを確かめるかのように語り続ける老人二人の孤独が美しく、哀しい。95年6月木山事務所初演で凍みるような感慨を呼んだ。
アーサ・ミラーのアメリカ演劇史上最高の傑作。平凡なセールスマンの悲劇を過去と現在を巧みに交叉させながら描いた作品。この録画は巡演前の舞台稽古として日大芸術学部の講堂で上演したものを収録。
舞台は20世紀初頭ロシアの貧民街にある木賃宿。そこに巣くう泥棒、アル中の役者、巡礼者、男爵、靴屋、帽子屋、浮浪者の群れ。一つの殺人が浮き彫りにしていく裏切り、苦悩。そして人々のしたたかな姿。今日も酒をあおり、歌でやり過ごす一日が暮れていく。