喜劇昭和の世界三部作
『キネマと怪人』、『ブランキ殺し上海の春』と共に「喜劇昭和の世界」三部作を構成する。佐藤信は天皇制に切り込むべく、二・二六事件による戒厳令下の東京に架空の街を出現させ、阿部定事件を絡めながら昭和の終焉を描こうとした。なお、本作の巡業先だった沖縄での上演が不許可になり、裁判に発展した。これをきっかけに劇団は意識的に公有地を上演場所に選ぶことで全国の公有地を開放する運動をはじめる。
喜劇昭和の世界三部作
本作は『二月とキネマ』『キネマと探偵』に続く連作の三作目。満洲映画協会の要人で、往年のスター麗人浪子は映画監督の鞍馬虎馬と共に、「最終映画」のクランクインを待ち続けている。佐藤信は、石原莞爾の「最終戦争論」と、ゲッペルスがナチ党大会で演説したプロパガンダ芸術としての映画の2つから「最終映画」を着想し、大戦下の狂気を、映画という夢の世界を通して分解しようと試みた。