寂しさと不安を抱える女と男の会話劇「セクシードライバー」(09年初演/第54回岸田國士戯曲賞最終候補)を、21年コロナ禍の初春、無観客公演ならぬ"観客ひとり"公演と名付け、湾岸埠頭にて深夜3時開演の野外上演を決行。"観客ひとり"こと江本純子による80分の長回しRECの奇跡、それは映像としての奇跡だけではなく、演劇の奇跡にも重なる。そして仕上がった全編100分の天然野外劇シネマ、演劇=映画を成立させ
中年蜂フィメールno.20018とno.20019。この二匹の蜂、生まれて3日目まで女王蜂候補だった。働く庶民だと甘んずることができず、気持ちだけ貴族のまま、巣箱の中で働くフリをして生きてきた。そして届いた“黄紙”。中年蜂の宿命、内勤から外回り勤務への移動辞令だ。命はもう僅か。二匹は辞令を無視して巣箱を出ることを決意し、出発の夜・・。江本純子が静岡で煌めく「民」を取材し、仕上げた新作50分。
“見えすぎるもの”が溢れている現代にて。SDGsグリーンレジデンスの住人・神納のPCに届いたVideo。それはマンション管理組合の理事たちのZOOM会議の様子。神納にVideoを届けたのは、「見えざる使者」。彼らは、神納宅のベランダ庭園で生きている植物の「声」を担当している“メッセンジャー”。植物から発せられた“目には見えない声”(劇中ではタマ)を人間たちにお届けるために、見えざる使者たちは目に見
2000年に旗揚げし、わずか3年で3000人の動員を記録し、結成5周年の今作で本多劇場を初占拠した毛皮族による、奇行乱行愚行の限りを尽くした威勢よすぎのネオアングラ演劇?! 2005年作品。柏木と安田、ふたりの若者の懺悔録。銭源氏と名乗って遊女と戯れ、ホステスに貢がせた金で豪遊している安田だが、実は借金苦で身も心も崩壊寸前。一方「笑い」に目覚めた柏木は、世界を救うコメディアンを目指すが、自身の才
毛皮族10周年記念公演として2010年に制作。第55回岸田國士戯曲賞最終候補作。爆裂する生きる不条理。隣家からヘタクソなハレルヤ合唱が聞こえてくるクリスマス間近の冬の日。薄着のジェシカが舐めているアイスの棒にハワイ旅行当選の文字が浮かぶ。同じ街にはうっかり妻と呼ばれるうっかりしてばかりの女とその夫が印刷所を営んでいる。2人は貧しい暮らしに苦渋をなめる日々。森田と言う気の弱い男は言う事の聞かない妻を
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財団、江本純子2014年制作のミニマルスタイルな会話劇。現在この世に生きている「わたし」は、この人生が2回目であることに気づく。「わたし」にとって1回目の人生で母、姉妹だった女たちは、生まれ変わった2回目の人生では「わたし」にとってそれぞれ祖母、伯母、母になっていた。1回目の人生の主・スミコの反省を成仏させようと、2回目の人生の主・さちこは、元恋人たちと出会い直し、家族との生き直し、を試みてゆく。
日本の西の果て、田園地帯。農家の娘・百子は、「農業」という駅のベンチに座っている。農村の生活しか知らずに終わってしまうの…? そんな思いからふと電車に乗る百子。上京する電車賃を出してやった「毒草研究家」ヤマモトは、その後の百子を見つめ続ける。原宿にたむろする少女からボランティア少女へ、そしてなぜか農業高校で米を作る「農業少女」へ…。