内田百間の同名小説より、予言する神話的存在、件(頭人牛体)をカセキが体現する。生まれて3日で死ぬ運命、人間だった時の記憶と感情を反芻し、予言を求める人間達に追われ、囲まれ、待たれる。空気は期待と切望に濃厚になり、いつか観客を窒息させる。恐怖の構造、人間の欲望、愚かさを簡潔な動きと演出で、時にグロテスク、時に滑稽に表現する。誰が次の件になるのか。恐怖は体を揺さぶり突き抜ける。1998年初演。
マーク・アテシュと共同制作した、カセキユウコのソロダンス。日常から非論理的で奇妙な出来事を浮かび上がらせる作家、内田百閒の同名物語に端を出発点とする。百閒はその独特な視点で、シンプルなエピソードから平凡な構造に裂け目を見つける。異界への扉は、一方には不安を与え、他方には奇妙なユーモアを出現させる。カセキはこの状況を不条理とユーモアとによって暴き出し、簡明に自己と肉体をこの世界に存在させる。1998