八戸の劇団モレキュラ―シアターの代表作。80年代、ドイツ、ベルギーなど各国の演劇祭で絶賛を浴び、その前衛的手法で日本の演劇界に衝撃を与えた。辺境の作家フランツ・カフカが婚約者フェリーツェと交わした手紙の書簡集を素材に、カフカの書くことの狂気とその果てしない増殖、言葉に寄生した声と思考、求愛と孤絶といったカフカのサイコグラム(心象図)を濃密な不安に満ちた空間に描き、圧倒的な緊迫感と身体表現で劇化した
カフカの生誕地プラハで開催された「カフカ国際演劇祭89」で上演。チェコ民主化により発禁だったカフカが解禁された記念すべきイベントだった。カフカの「城/巣穴」を原作に、1幕「土地測量師」、2幕は「城」に登場する二人の女性「フェリーダとアマリア」、そして3幕に「視座」と3つの角度から、カフカの世界が呼び起こす断絶や権力、関係の寄生性等を独自の視点で視覚的演劇的に抽出し、カフカ文学への新たな入口を提示し