太田省吾の台詞劇にもとづく創作に挑んだ本作。使用テクストは、ひとりの老人と亡妻の幻影とのはかない交渉をめぐる「棲家」。太田の言語態への新たな応答を試みるきたまりの振付・演出。人物の関係性に潜む官能を静かにあぶり出す由良部正美の踊り。上演の時空間に独特の彩りと陰翳を与える野村誠のピアノと嵯峨治彦の馬頭琴。劇言語×ダンス×生演奏のクロスオーバーによって、生死の境域、記憶の情景が浮かびあがる。
OSAKA DANCE EXPERIENCE
去年に引きつづき「ピエタ」をダンスエクペリエンスで踊るわけですが、ピエタというイマージュは、もう十数年私の中で生きつづけ、なおその謎を深めながら変容しつつ、私を招きながら私が踊る動機にすらなっているのです。「ボクハ アナタガ ケッシテフリムカナイコトヲシッテイル。シカシ ボクガ シ ヲ ムカエルトキ ボクヲ ダクノガ アナタデアルコトモシッテイル。」(以下略、チラシより)