同窓会に集まった5人に、ウジが言う。「今日はちゃんと気づいてほしい。私をいじめたのは、誰だったのか」そして5人は、高校時代の思い出を振り返る。どれもこれも、楽しかったことばかりで。記憶の中のウジも、目の前のウジも、ずっと笑っていて。5人にはずっと、そう見えていて。観客に、ウジの姿は見えない。ウジのセリフは常に、字幕で観客に示され続ける。彼らにとっては、その姿も、その声も、今もそこにあるままだ。
これはももちの世界の新作舞台。舞台は架空の日本。1948年、巣鴨プリズンで死刑宣告を待っていたA級戦犯・桐野健人は、神の祝福を受けたことにより釈放される。その後、健人は初代皇帝として長年君臨し続けるが……。神の気まぐれに支配された世界で繰り広げられる、世にも奇妙な政治劇が現在日本を逆照射する。