1923年9月1日の関東大震災直後に起こった朝鮮人虐殺事件から2年後の東京が舞台。石崎友久が営む石崎洋服店に住み込みで働き始めた裁縫職人の木下麻子は、周囲の人々と親しくなり、日々を営んでいくが、まだ誰にも打ち明けていないことがあった。また、石崎洋服店の職人や店に出入りする友人知人らも秘密を抱えていた。ある日、麻子は周囲の人々が抱えている秘密を知ることになり……。
双子の少年たちの日記として描かれた原作小説『悪童日記』は、その文体が非常に無機質な点が特徴です。そこで今作品では、『悪童日記』の物語ではなく、文体を立体的に立ち上げることで、双子の目がとらえた戦時下の片田舎の風景を描くことに挑戦しました。5つの無機質な台と5人の俳優、抑揚を排した発語を使って、非常時にあらわになる人間の本質と、無機質な文体の奥にしまい込まれた双子の感情を炙り出します。
とある老女。彼女は周りの人間から、それぞれが見たい姿を勝手に投影され、彼女自身が顧みられることはない。一方当人は、何もわからない風でいながらしたたかに生に執着している。社会から見えない存在にされても、息をしなくてはならない、なぜなら私は、生きているのだから・・・。人生の最終章。認知症を患いながらも周りの人間との関わりの中で、自分らしく生きることを選択する、老女の物語。
